燕の季節

 
 
いつもなら爽やかな風の中、体いっぱいに日差しを浴びて季節を感じる5月・6月。
今年は新型肺炎の影響で、工房でも窓の中から青空を眺めるばかりで、気分もなかなか晴れません。例年なら工房近くの隅田川にもよく散歩に出かけるのですが、今年は「人気の少ない時間帯を見計らって…」と何だか気持ちも開放的になれず。「せめて気持ちだけでも、燕のように大空を飛び回れたら…」工房の中で膨らんだ、そんな気持ちから思いついた「燕特集」です。

 
もともと僕(大野@代表)は鳥が好き。数あるポンピン堂の文様の中でも、気がつけば「千鳥・福良雀、鳩、鶴、向かい鳥、燕…」と結構あります鳥の柄。
5−6月を代表する文様として知られる「燕」。
空を飛ぶ優美な姿が好まれ、古い時代から様々な工芸品の意匠として描かれてきました。企業の商号やブランド名、列車の愛称などにも「つばめ」の名が多く見られる事からも、燕がこの国で愛されてきた事が想像できます。
「富の守り神」「開運招福の象徴」といわれる燕文様。今回は、その由来と魅力の一部をご紹介します!
 
 

姿も優美な燕。日本では古くから「益鳥」として大切にされており、企業の商号やブランド名、列車の愛称などにも「つばめ」の名が多く見られる。

 
 
渡り鳥である燕は、5月頃になると南の国から太平洋を超えて日本にやってきます。
礼服である「燕尾服」の語源ともなった長い尾をもち、黒に近い濃紺の背と、真っ白なお腹のコントラスト。喉元は赤く、スマートで美しい鳥です。

稲など穀物は食べない一方、稲につく害虫を食べてくれることから「豊作の守り神」として古くから大切にされてきました。昔は米が貨幣と同様にあつかわれていたため、「米の収穫量が増える=暮らしが豊かになる」として、富と豊穣の象徴として描かれてきました。

 
 

燕の子育ての様子。子育てに必要な豊富な餌=昆虫を求めて、はるばる南方から飛来する。

 
 
民家の軒先に巣作りをすることで知られますが、これは人間の出入りする場所に巣を作ることで、カラスなど燕の天敵から身を守る工夫。人間をガードマンにして子育てを守ってもらう、ちゃっかりした面をもっています。古くから「燕が巣を作る家は繁栄する」と言い伝えられ、燕が家に巣をかけることは家門繁栄・商売繁盛の目印として好まれてきました。(風通しが良く湿気が少ない場所を選ぶことからも、家相の良い家を選んで巣を作るといわれています。
) またヒナが孵化すると、巣から大きな口を出して餌をねだる姿も見られます。親鳥が虫をつかまえては、お腹を空かせたヒナたちの元へと何度も往復する姿は微笑ましく、夫婦で懸命に子育てをする姿から「夫婦和合」の象徴ともいわれています。
 
ポンピン堂でも代表・大野が鳥好きのため、鳥の文様が幾つもあります。燕の文様もそのうちの一つ。工芸の文様としては初夏を象徴する鳥として描かれますが、工房では一年を通じて人気の柄です。各アイテム、少しずつ違った風合いをご紹介しましょう。
 
 

 
 

ハンケチ

 
 
定番商品のひとつ「ハンケチ」。斜めに燕が飛んでいるデザインは、可愛いくも大人っぽい雰囲気で、女性・男性を問わず人気の柄です。美しい光沢をもつ「60番サテン」生地は適度なボリューム感があるため、たっぷりと手を拭くだけでなく、お弁当包みなど小風呂敷のような使い方も人気です。
 
 

上品な光沢感が美しい、60サテンの生地。なめらかだけど適度なボリューム感があり、手を拭いてもたっぷりと水を吸ってくれる。サコッシュにお気に入りの一枚を入れて。お出かけ先の食事でも、ちょっとしたナプキン代わりに活躍。

 
 
 
 

ふみころも「燕」

 
 
文庫本サイズのブックカバー「ふみころも」。こちらも本の背に数羽のツバメが飛ぶ、爽やかなデザイン。後ろ側の見返し部分の差し込みを調整することで、かなり厚手の文庫本(最大厚み:約3cm)にも対応できる作りで、長年のファンが多い製品です。見返しの部分にチラリと覗くツバメもチャームポイントです。

綿帆布に顔料を刷り込む「捺染」の技法で作られる。適度な生地の厚み・硬さが丁度良いと、長年人気のアイテム。読書好きの方は、併読中の本それぞれに柄を違えてブックカバーを掛ける使いかたも。

 
 
 
 

守袋

 
 
工房のアイコン的商品であり、かつて江戸の粋人達が御守り入れとして愛用した「守袋」。もともとはお守りを携帯するための袋として使われていましたが、現代ではアクセサリーやコスメ、デジタルギアと身の回りの様々なものを入れる袋として使われています。選んだ文様の意味に、使い手・贈り手の気持ちを重ねることで、「想いの依代」としてお使いいただいています。

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小さな袋に、使い手それぞれの想いを重ねて。アクセサリー、デジタルギア、印鑑のような日常使いだけでなく、出産記念の臍の緒を大切にしまっておく方も。

 
 
 
 

合財袋

 
 
江戸時代の人々が「身の廻りのもの一切合切放り込んで持ち歩ける」ことから「合材袋」と呼ばれる袋。いわゆる大きめな巾着ですが、最近では手持ちでぶら下げるよりも、大きなカバンの中でポーチ感覚でお使いいただいている方が多いようです。ご朱印帳がぴったり収まるサイズで、他にもお化粧品やデジタルギアなど様々な用途にお使いいただけます。

「身の廻りのもの一切合切を放り込んで持ち歩ける」ことから「合財袋」と呼ばれる。「切」の字は縁起が悪いと、「財」とあてるのが江戸前。最近ではポーチ感覚で使われる方が多いが、もちろん着物や浴衣にぶら下げても素敵。

 
 
 
 

本縫い小座布団

 
 
ベテラン職人が伝統的な江戸座布団の技法で仕立てた「本縫い座布団」。サイズは小振りですが、布団用の最高級綿を通常の2倍量も詰めているため、厚み・立体感があり、クッション感覚でもお使いいただける小座布団です。伝統的な製法が生み出す愛らしい存在感は、お部屋の和洋を問わず空間を彩ります。

小さなちゃぶ台に合わせて。伝統的な仕立てが生み出す存在感は、お部屋の雰囲気の大きなアクセントに。

 
 
 
 

型染め額装

 
 
型染めの技法で染め抜いた布を飾る、シンプルな額装。伝統的な型染めの技法を用い、工房で一枚ずつ染め抜かれた布が、手染め特有のやわらかな風合いと存在感で空間を彩ります。また無垢の天然木を使用した額縁も、熟練の額縁職人に依頼して1点ずつ手がけられたもの。手染めの柔らかな表情とモダンな文様が、お部屋の和洋を選ばず空間を華やかに彩ります。壁に掛けたり棚に飾るだけで、お部屋の雰囲気をグッと変えてくれる一品です。

シンプルな無垢材の額装は型染め布の表情を引き立て、お部屋の和洋を選ばず馴染んでくれます。

 
 
 
 

型染めタペストリー

 
 
工房の製品の中でもごく少数だけで作られるアイテムで、テーブルや棚に敷けばテーブルランナーとして、壁に飾ればタペストリーとして気分に応じて使っていただける型染め布。一枚の布を掛けるだけで空間の雰囲気を大きく変えてくれる一品です。

壁に掛けても、テーブルに敷いても。燕と雲の、シンプルなデザインがお部屋を彩ります。

 
 


 
 
以上、燕尽くしの特集でした。初夏だけでなく、一年を通じて愛らしい表情を見せてくれる「燕」。工房オンラインストアでは、それぞれの製品についてより詳しいディティールをご紹介しています。各製品の魅力、ぜひごらんください!