「恵の秋」の訪れ
気がつけば8月も終わり、秋らしい空気を感じるようになりました。台風の接近が心配されていますが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
低気圧の影響か、ここ数日は東京・浅草もぐずついた空模様。気分まで湿ったようで、今一つシャキッとしない日が続きます。それでも雨上がりに工房の外に出ると、道端の草むらから秋の虫の声が。空き地にはススキの穂がゆれて、季節の変化を感じるようになりました。
実は「秋」は、季節にまつわる伝統文様の多い季節です。
菊や桔梗、萩、女郎花など「秋の七草」にはじまり、「柿・栗・南瓜」に「うずら」。また「稲穂」や「福良雀」など、その多くが大地の実り、豊かな収穫につながる意味を持っています。
それは科学の発達した現代と違い、自然の実りに生活のサイクルが大きく依存していた頃のはなし。自然が与えてくれる秋の実りは、人々にとって大きな喜びであり、豊かさの象徴だったのでしょう。
恵と豊穣を感じさせる、「秋」の文様。ぜひあなたのお気に入りを探してみてください。
「秋の文様」たち
それまで積み重ねた物事が、実を結び、収穫の時期を迎える季節「秋」。見ていると心がふっくら豊かになるような文様がたくさんあります。
【守袋・柿】
「嘉来(喜び来たる)=かき」の語呂掛けから、開運招福の縁起柄として好まれた「柿」の柄。鮮やかな朱の色も、おめでたい一品。
【型染めポーチ・栗】
コロンと可愛い栗の柄。鋭いイガが邪を払い、また「くり=苦離」に通じる事から、厄除けを意味する文様とされています。
【本縫い小座布団・うずら】
愛らしいデザインで、一年中人気の「うずら」ですが、実は秋の柄として描かれる縁起柄。豊かな実りと吉祥を呼ぶ、おめでたい鳥さんです。