本品堂の「手ぬぐい」
何にでも使える布、手ぬぐい。手ぬぐいファンでなくとも、何枚あってもいいと思ってしまう手ぬぐい。
多くの日本人に今もなお馴染む手ぬぐいの横幅は、着物と同じ幅。着物をあまり着なくなった今でも、古の名残を残す、伝統ある万能の布です。
使い方スタンダード
ところで私は1日を手ぬぐいと共に過ごします…
まず朝は顔を洗って拭くところから。昼は汗を拭ったり、とっさの日除けにも。ペットボトルを買ったら、結露防止で巻いておく。帰宅したら、さっと洗って干してしまいます。またお風呂はお風呂用の手拭いがあり、体を流す。
すぐに乾くからか、タオルと違って臭いがでることもほぼ無い。また、夜洗濯したものは、翌朝にはしっかり乾く。冬であっても変わらず乾くので、本当に便利。
包む・かける
ほかにも、インテリアやラッピングとして。
本品堂の手ぬぐいは、タペストリーや額装にしてくださっている方も多いのです。
1枚の画面に見立てて図案を考えるので、1枚の絵になっていることが多い本品堂の手ぬぐい。広げて使うのも、贅沢な使い方です。
また先日は和服(お着物)の半襟で本品堂の生地を使ってくださっている方が!とても嬉しいことです。
ぽってりした素材
さて、素材のこと。生地はもちろん手触りの良い木綿を使っています。「総理(そうり)」という、糸がぽってり、ふっくら織られた生地です。(「文ぶん」とも言われます)吸水性にたいへん優れています。
図案のうち、細い線画の場合は、「手捺染」。大ぶりな文様は、「注染」という技法で制作します。(手ぬぐいは本品堂の工房では制作できないので他の工場さんにお願いしています。型染めではありません。)
江戸の旅人も愛した、手ぬぐい
浮世絵の背後にかけてある手ぬぐいは、一日中、旅のお供で汗を拭い、日よけ・雨よけにし、宿について、夕食の前に干したのだろう。
そして、次はきっと風呂で使うんだ。風呂では最後に洗濯し、明日また使う。
私たちと同じ使い方をしている、江戸の人たち。昔から連綿と続く、暮らしの姿。
【画像】東京国立博物館蔵・歌川広重「木曽街道六拾九次之内・下諏訪」より