本品堂工房メールマガジン「日々雑想」第30号
春の気配を感じて
ーーーーーーーーーーーーーーー 今週の東京は早めの春一番も観測されるなど、まだまだ肌寒い空気の中にも、春の気配を思わせる日差しが感じられました。桜の開花には少し早いですが、「外出もはばかられる日々に、少しでも気持ちを明るくして戴こう」と、季節限定柄「桜」のリリースを、例年より少し早くしました。 昨年もたいへん好評をいただいた「守袋」「合財袋」「ブックカバーふみころも」にあわせて、今年は「型染め額装」でも桜柄が加わりました。桜のシリーズは、デザインした僕自身も気に入っている文様です。 守袋は、桜の花を横から見た「横見桜」を三つあわせたデザイン。花弁にほどこされた淡いピンクのグラデーションは、鹿毛の刷毛で顔料をぼかすように刷り込んで仕上げています。 合財袋は、儚げに散る桜の花びらを源氏香図に重ねた文様。直截的に「桜」を描くのではなく、多くの方が無意識に感じる「桜の散りざま=儚さも含めた美しさ」を象徴的に表現したデザインで、はらはらと散る花びらが空間の広がりを感じさせてくれます。裏面には横見の桜を一輪染め抜き、桜の優しい雰囲気を大人っぽく上品に表現した一品です。 どちらも派手なピンクではなく、桜の花びらの主張しすぎない、優しい色合いを表現しようと色合いも何度も試作を重ねました。一見すると「ピンク」と見えますが、実は少し黄色が混ぜています。そして色もかなり淡く、優しい色合い。刷毛で色を染めている時にも、いつも「少し薄いかな…?」と少し物足りなく感じるのですが、実はこのくらいが丁度良い塩梅。全ての色を染め上がると、淡いピンクのグラデーションが一体となり、生地のグレーと上品なバランスを見せてくれます。 もともと「さくら」という言葉は、日本の古語では「稲作を司る神様の座すところ」という意味を持っていました。冬の間、山にいた神様が、春になると里に降りてきて、桜の花にお座りになる(花が咲く)。すると、神様の力が田畑に降り注ぎ、農作物が芽吹き成長するーと言い伝えられていました。 緊急事態宣言の延長もあり、気持ちにフタをされたような日々はまだしばらく続きそうです。春の神様が早く降りてきてくれることを祈りつつ(笑)、まだ寒さ残る日々をどうぞお身体大切にお過ごしください。春の暖かな日差しを心待ちにしながら、皆さんそれぞれの「春待ち」を愉しんでいただければと思います。 桜柄の販売期間は、どのアイテムも4月30日まで。工房直販と一部お取り扱い店のみの限定販売となります。ぜひぜひご覧ください! 書き手:大野耕作ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ●「型染め額装」が人気です● 先日のリリース以来、型染め額装がご好評をいただいています。お部屋の雰囲気を手軽に変えるアイテムとして、皆さんご自宅の雰囲気に合う思い思いの文様を選んでいただいています。 木製の額縁は、ベテランの職人さんが桜の無垢材から切り出したもの。クセのないシンプルなデザインは、中身のアートピースを邪魔せず、どんなお部屋にも馴染んでくれます。いずれも受注生産で、製作に少しお時間をいただいていますが、工房で一つ一つ丁寧に仕上げてお届けをしています。型染めの優しい風合いを、ぜひ暮らしの身近に置いてお愉しみください! ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー● 節分の豆まき ● 先日、ある方から節分用のお豆をいただきました。南千住の素戔嗚(すさのお)神社さんのもので、綺麗な木升に入ったもの。 中身が小分けのパッケージになっているのもカワイイのですが、中のお豆がすごく綺麗。一粒一粒形が整っていて、ツヤツヤと光っています。また食べてみると香ばしく、噛むと甘味が広がる美味しさ。 工房の休み時間に、大野と工藤二人でハトのように顔を突き合わせ「美味しいね…」「きれいだね…」とつぶやきながら豆をついばんでいました(笑) 皆さまも豆まきはされましたか?旧暦の上では、節分を過ぎれば新たな一年が始まります。新しい気持ちで、健康に気をつけながらお過ごしください! ーーーーーーーーーーーーーーー
本品堂工房メールマガジン「日々雑想」第29号
珈琲のはなし
ーーーーーーーーーーーーーーー ー珈琲が好きだ。毎朝、朝食前にハンドドリップで珈琲を淹れるのが毎日の日課になっている。若い頃、珈琲専門店でアルバイトしていた事もあり、20歳の頃からほぼ毎日、珈琲を入れてきた。昔は自分用のマグカップ一杯だけだったのが、いつしか家族の分が増え、今ではコーヒーサーバーになみなみと抽出するのが、僕の毎朝のルーチンだ。 一日中飲んでいる訳ではないけれど、一日飲まないと何だか落ち着かない。外でカフェに行くのも好きだけれど、そんな時は珈琲の味そのものよりも、お店の空間や雰囲気を体感するのが楽しみなのかもしれない。珈琲そのものをじっくりと味わうなら、家でゆっくりと飲む方が好きだ。いや、実はひょっとすると珈琲を飲むことよりも、自分で淹れる行為自体が好きなのかとさえ時々思う。 本品堂の工房から自転車で少し行ったところに、一軒の珈琲専門店がある。 店の名は「カフェ・バッハ」。日本の自家焙煎珈琲のはしりとされ、この地で50年以上営業を続けている名店。お世辞にもアクセスが良い場所ではないけれど、いつもお客さんが絶えず、週末ともなれば満席で行列ができることもしばしば。店主の田口護氏は喫茶業界ではレジェンドのような存在で、2000年に沖縄サミットが開催された折には、首相官邸から呼ばれて晩餐会の食後に珈琲をふるまったという。その際、コーヒー嫌いで有名だったクリントン大統領(当時)が「このコーヒーは美味しい!」と喜んだーそんな逸話も残っている。 丁寧なハンドピッキングにより選別される豆は本当に良質で、それなのに価格は特別高い訳ではない。豆そのものが美しく、雑味が少なく、そして甘味がある。そう、本当に美味しい珈琲は、豆そのものの甘味がある。何だか書いていて宣伝のようになってきた。でも、こんなふうに思わず人に教えたくなるようなお店。 イベントなどで工房に来てくれた人に地元のオススメを尋ねられると、真っ先に挙げるのもカフェ・バッハ。今年も工房で色々なイベントをしたいと考えながらも、コロナの状況次第でまだまだ不透明なところ。早く皆さんと顔をあわせてお話しながら、珈琲のオススメもできる日が来ることを心から願っています。 まだまだ寒い日が続きます。皆さまどうぞ、暖かい飲み物で身体をあたためて、毎日大切にお過ごしください! 書き手:大野耕作ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ●「型染め額装」に新柄が登場!● お部屋の雰囲気を手軽に変えるアイテムとして人気の「型染め額装」に新しい柄が登場しました。小さな正方形サイズには「帆掛舟、七宝、桜、雲月」の4種類が。大きな長方形サイズには「千鳥、商い繁盛」の2種類が加わりました。 好評のため、先日から完売となっていた他の額装の柄も、オンラインストアでご注文いただけるようになっています。いずれも受注生産で、製作に少しお時間をいただいております。 外出が難しく、自宅にこもる時間が多いこの頃。気軽にお部屋の雰囲気を変えてくれる額装で、春に向けた気分転換もおすすめです。型染めの優しい風合いを、ぜひ暮らしの身近に置いてお愉しみください! ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ●限定柄「梅に丑」の終了間近!● 毎年、年末年始の期間限定で製作している、干支柄の守袋。今年の限定柄「梅に丑」も、年末から多くの方にお求めいただき、ありがとうございました。 守袋「梅に丑(朱色/紺色)」と、合財袋「梅に丑」はお問合せが多く、販売期間を1月31日まで延長しております。。もしまだご検討中の方がいらっしゃいましたら、ぜひ今のうちにご覧ください! 【対象商品】・守袋「梅に丑(朱色/紺色)」・合財袋「梅に丑」【販売期限】1月31日・24時まで ーーーーーーーーーーーーーーー
本品堂工房メールマガジン「日々雑想」第28号
街の表情を感じる散歩
ーーーーーーーーーーーーーーー 先週の週末、浅草界隈を歩いた。浅草の方にちょっとした用事があったのだけれど、このところ運動不足が続いている事もあり、散歩してみようかという気分になった。朝から寒い日だったけれど、ぐんぐん歩いていればそのうち身体も温まるだろうと思い、ダウンジャケットを着こみ、マスクと手袋をつけていざ出発。 工房から4-5kmくらいの範囲は、いつも自転車で移動する事が多い。バスより早く目的地に着けるし、時間も気にしなくていい。適度な運動にもなるので、雨さえ降らなければ良いことずくめだ。 自転車では数え切れないほど通り過ぎている道だけれど、歩いて来るのは初めてだな…と、通りを歩きながら思う。自転車で移動するときは、たいがい何か目的がある。「○○を買いにいく」とか「〇〇に行く」といった具合に目指す物事があって、ゴールに向かってすみやかに移動していく。ところが歩く速度だと、様々なものが目に入ってくる。商店街のお肉屋さんのショーケースや、居酒屋のメニュー看板、色あせた喫茶店の食品サンプルまで。時に立ち止まり、時に軒先を覗き込みながら、のんびりと歩みを進めていく。 「ここ、こんなお店あったっけ?」「こっちのお店は美味しそう…今度来てみたいな」 街全体を、五感で感じながらの散歩。こうして歩いてみるもの、なかなか良いものだ。結局この日は、煎餅屋さんで袋いっぱいの煎餅とおかきを買い、パン屋さんで何種類もの菓子パンを買った。途中、浅草寺にも寄って、遅まきながらの初詣もできた。何だか地元の知らなかった魅力を見つけた一日。こんどはまた違った通りを、歩いてみようと思った。・・・ さて、工房では3人変わらず制作に励んでいます。ステイホームで自宅で過ごす時間が長くなっているためか、お家の中を豊かに楽しむアイテムのご注文が増えています。クッション感覚で使える「本縫い小座布団」はもちろん、壁面を飾る「型染めタペストリー」や「額装」のお問合わせも多くなっています。あ、あと「達磨のぬいぐるみ」も不思議と人気です(笑) 今週の東京は少しだけ寒さが和らぎました。工房の近く・隅田川沿いでは紅白の梅の花が咲き、スカイツリーを背景に甘い匂いを漂わせています。一方、ニュースではまだまだ大雪に見舞われる各地の様子が報じられており、工房でもを心配しております。皆さまどうぞ暖かくして、お身体大切にお過ごしください! 書き手:大野耕作ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ●ZUTTO「こざぶクッション」● 本品堂製品をお取扱いいただいているオンラインストア「ZUTTO」さんで、別注コラボ商品「本縫いこざぶクッション」の新柄が発売されています。 本縫い小座布団の厚みを少し薄くし、椅子にジャストフィットする仕様で作られている「こざぶクッション」。より洋室に馴染みやすいよう、座布団の四隅に付いている「房糸」を無くした、特別な仕立てでお作りしています。 柄は「富士山」と「燕」の2種類。もともと人気の3柄とあわせてZUTTOさんオンラインストアで発売中です。「本縫い小座布団」とはまた違った魅力の一品、ぜひご覧ください! ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ● 年末年始・イベントの御礼 ● 今週いっぱいで、年末から続いていたフェア、イベントの出店が全て終わります。お越しいただいた皆さま、有難うございました。改めて御礼申し上げます。 今年は、遠く熊本でも出店をしておりましたが、お店の方からSNSをご覧になって何名もご覧いただいたと聞きました。店頭にお越しいただいた皆さま、有難うございます。 新春のイベント出店はこれでひと段落となりますが、また状況が許せば催事や工房イベントなど皆さまにお目に掛かれる機会を作りたいと考えております。都度こちらのメルマガやSNS等でご案内させて戴きますので、どうぞご期待ください。 ーーーーーーーーーーーーーーー
本品堂工房メールマガジン「日々雑想」第27号
工房から新年のごあいさつ
ーーーーーーーーーーーーーーー 皆さま、あけましておめでとうございます。旧年中は多くのご愛顧をいただき、本当にありがとうございました。本年も「皆さまの心に寄り添うようなものづくり」を目指し、製作に励んで参ります。なにとぞ変わらぬご愛顧をいただけますよう、お願い申し上げます。 さて、年が明けました。静かな年末年始を迎えられた方も多いと思いますが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。 工房でも、この年末年始は販売に出るイベント出店を中止したため、およそ18年ぶりとなるお正月休みをいただきました。年末年始を穏やかに自宅で迎えることが久しぶりすぎて、何だか落ち着かない気分になってしまう始末でした(笑)。 年末の30日には年内最後の出荷を終えて、「今年もおつかれさまー!」と、ようやく一息。染め場と事務所の掃除を終えると、ひと足先に飾ってあった鏡餅も、改めてパリッとした感じがしました。本品堂工房では、ばあちゃんが餅をつくのが毎年の習慣。今年も搗き立てのお餅を、家族みんなで丸めて鏡餅にを作りました。小ぶりで不格好なんだけど、どこか愛嬌があるのも、僕たちらしいのかもしれない。 そういえば、ここで一つ文様の話を。 本品堂の守袋に「蛇の目」という柄があります。シンプルに丸を染め抜いた粋な文様ですが、名前の通り「蛇の目」を表す柄です。「蛇の眼」には「物事の真実の姿を映し、邪を祓う力が宿る」とされ、古くから特別な力を持った存在として信仰の対象にもなってきました。 この「蛇」、日本の古語では「カガ」と呼ばれていました。(毒ヘビの”ヤマカガシ”という名にその名残が見られます)そして、「鏡餅」の「かがみ」は「カガメ(蛇の眼)」が変化したーという説もあるんです。良く見ると、上から下に向かって段々と大きくなっていく鏡餅の横姿、蛇がトグロを巻いている姿にも似ています…年神さまへの供物に、魔除け・厄除けの意味が重ねられていたのかもしれません。 そんな鏡餅も、日にちが経つと少しずつ乾燥してヒビ割れてきます。これを7日に神前から下げた後、じっくりと天日に干して「揚げ餅」にするのも毎年の恒例行事。乾燥させて細かく砕いたお餅を油で揚げ、アツアツのところに醤油をジュワっと廻しかけていただく味は格別です。季節限定の、工房のおやつとして楽しみの一つです。 さてさて、今年もこんな感じでゆるゆると、工房からのニュースをお伝えできればと思っています。寒気も強まり、コロナの拡大も心配されています。皆さまどうぞお身体大切にして、暖かくお過ごしください。 今年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。 書き手:大野耕作ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ● 製品のお手入れについて ● 最近、守袋/合財袋やお座布団のお手入れについてのお問合せが増えています。特に多いものが「守袋」「合財袋」のお洗濯ができるかどうかーーというものです。守袋、合財袋は、1点1点手染めして作られており、原則的にはお洗濯をお勧めしておりません。もしどうしても・・・という場合は工房にご連絡ください。 皆さんそれぞれの想いを重ねて、何年もご愛用いただいている方が多く、工房で製作した製品が私たちの元を離れ、使い手の皆さんの暮らしの一部となって共に時間を過ごしている事を、とても嬉しく感じています。 長くお使いいただくために、近々、サイト上で製品のメンテナンスに関する情報をご紹介できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ● コメントのご返信について ● ご注文時やSNSなど、時折お客様より工房へのコメント・メッセージを戴きますが、このところ戴くご注文量が増え、全てのコメントにご返信ができておりません… 多くの方が「長年大切に使っている」というご愛用のエピソードを添えてくだり、作り手としても本当に嬉しい励みに感じております。いただいたメッセージは全てスタッフ全員(といっても3人ですが…)で拝見しています。 時間がなく個別にご返信ができない場合もあり、誠に申し訳ありませんが、いつもとても有難く感じております!何かの際は、ぜひ一言添えていただけると嬉しいです!! ーーーーーーーーーーーーーーー
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