本品堂工房メールマガジン「日々雑想」第49号

思わぬ立ち話

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珈琲が好きで、いつも豆を買っている店がある。
南千住の「カフェ・バッハ」というお店で、工房から自転車で数分のところにある。
 
直売会などのイベントで工房に来たくれた方にはよくオススメしているので、ご存知の方もいるかもしれないが、店主の田口護さんは日本の自家焙煎珈琲の草分けと言われ、喫茶業界ではレジェンドのような存在だ。昔、珈琲専門店でアルバイトをしていた頃、いつも喫茶業界の専門誌で田口さんの記事を読んでいた。珈琲の淹れかたについての連載だったが、解説は論理的で実にわかり易く、色々な事を勉強させてもらった。なので、先方は僕のことなどご存知無いが、僕にとっては25年来の珈琲の先生であり、雲の上の神様のような存在だった。
 
実は、毎週1-2回珈琲豆を購入に行くと、稀に店頭で田口さんの姿をお見かけする事があった。もう70過ぎのお歳なので、流石に店頭でサービスにはあたらず、後進の育成に注力されていると聞いていたが、その姿を目にするたび「おお、田口さんだ…!」と心の中で独り勝手に盛り上がっていた。
 
先日、いつものように珈琲豆を買いに行った時のこと。その日はなかなか仕事が片付かず、閉店時間ギリギリに駆け込むようにしてお店に入り、珈琲豆を注文した。
 
「イタリアン、100×2、挽きで」
 
いつもと同じ注文を受け取り、店を出ようとした時、ちょうど入口から入ってきた2人がいた。なんと、店主の田口さんではないか。一緒にいたスタッフの方は、以前工房の直売買いにも来てくださった方だった。「近くの型染め工房で製作をされていて…」スタッフの方が田口さんに僕のことを紹介してくださると、「僕は手仕事が好きでねぇ」思いもかけぬ立ち話がはじまった。
 
 
「僕は20代の頃、鎌倉のギャラリーで藍染の作品に出会って、工芸に興味を持ったんですよ」田口さんがそう話す。「僕はずっとお客さんに良い珈琲を飲んでもらおうと思って、試行錯誤を繰り返してきた。工芸や手仕事も同じだと思うんです」憧れのレジェンドからこの言葉である。
僕は挽きたての珈琲豆を手に、何度も頷いた。
 
 
「ひとが手を掛けたものは良いですよ」
 
 
半世紀以上にわたって「珈琲」という道を極めた人の言葉である。
重く、深みのある言葉だった。
ぜひ一度、工房にも遊びに来てくださいと伝え、お店を後にした。
 
 
閉店後の店先での、思わぬ立ち話。
時間にすれば僅か数分間だけれど、とても素敵な時間だった。

 
 
書き手:大野耕作

 
 
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●フェア、始まっています!●


東京、国立の素敵なセレクトショップ「黄色い鳥器店」さんでフェアーを開催中です。

バイヤーであり店主の高橋さんが、本品堂のハンケチを大変気に入ってくださったことがきっかけで企画をさせていただきました。
ハンケチのほか、小座布団と晴雨兼用傘、夏用ストールなどが並びます。

会 期: 8月4日から9月5日まで
営業時間:12時〜18時
店休日: 月曜・火曜
夏休み: 8月23日〜8月31日

場所:黄色い鳥器店(東京都国立市北1-12-2 2F)
   JR国立駅より徒歩3分
電話:042-37-8502


※感染症対策による営業時間の変更がある場合もありますので、ご確認ください。

お店に大野・工藤はおりませんがとても素敵なお店ですので、ぜひお越しくださいませ。

●黄色い鳥器店●
http://kiiroi-tori.com
 
 
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●工房お盆休みのお知らせ●


工房では、8月12日木曜日から15日日曜日まで、お盆休みをいただきます。

お休みをいただいている間の、お問い合わせのご返信や、ご注文の発送はお休みをさせていただきます。

インスタなどは更新させていただくかもしれません。

何卒よろしくお願いいたします。
 
 
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